こころが晴れるノート 大野裕 著 – 認知行動療法の本
認知行動療法とは?
この本で紹介されている認知行動療法は、うつ病や不安障害、パニック障害といった精神疾患はもちろんですが、何か困難にぶつかった時に、その困難に向き合い乗り越えていける、心の力を育てる方法として、最も注目を浴びている精神療法(カウンセリング)のひとつです。
「こころが晴れるノート」をカウンセリングに
「こころが晴れるノート」は、私が2020年2月より、私が居住自治体の生活相談課の方から紹介して頂いた先生と、取り組んでいるカウンセリング心理療法です。
「こころが晴れるノート」の解りやすところは、現実を主観的に見てしまっている自分の「クセ」を見つけ出して改善していくところになります。
私たちは、今まで社会変化で受けたストレスを、自分独自の受け取り方や影響を受けながら、自分なりの思い入れの世界を作り上げて生活してきました。
本の中にある「認知」と言うのは、この現実の受け取り方、ものの味方の事で、その「認知」に対して心理的なストレスを軽減していく治療法「認知療法」を通じて、こころの健康を取り戻していく、ストレス耐性をつけていく、考え方を気付かせてくれる本になります。
私も、「こころが晴れるノート」の構成の中から、カウンセリングの先生と共に自分の考え方のクセを発見し、それを楽にする解決方法を実際に書き出す事で、自分の身になり、次に同じことが起こったら、対処として「このような考え方もある」‥等改めて冷静に判断していける練習をしています。
正直、私はカウンセリングについて「催眠術」みたいなものと言う捉え方をしていましたが、この本を先生と一緒に読み、実際の自分に起こった事柄を書き出して、クセを治していく事で、少しずつですが楽になってきています。
勉強と一緒で、直ぐには効果は現れませんが、少しづつ続けていく事で「自分の心が楽になる」と信じ、書き出していく事が大切と感じます。
重要なのは、決して自分が悪いと否定するのではなく、自分の考え方のクセを見つけ修正し、柔軟な考え方を持つ事なのです。
恥ずかしい事ではありません。また歳なんて関係ありません。私は、46歳です。
自分が少しでも良い捉え方をできるように、勉強していくという考え方になってきたのも、「こころが晴れるノート」のおかげと感じています。
「こころが晴れるノート」の構成
Part1とPart2に分かれています。以下は、構成の抜粋になります。
Part1では、認知療法の考え方を1つひとつわかりやすく解説していきます。
認知療法を理解する為のキーワード「自動思考」と「スキーマ」です。「自動思考」というのは、瞬間、瞬間に頭に浮かんでくる考え方やイメージの事をいい、私たちが現実をどのように見ているかが、そこに現れます。
例えば、不安になっている時には「何か危険な事が起こりそうだ」と考え、その「危険に対処するだけの力が自分にはないし、きっと周りの人からも必要な助けが得られないだろう」という考えに支配されるようになります。
こうした考えの流れを「自動思考」と呼びます。
この「自動思考」を、現実に沿った柔軟な考え方に変える事が出来れば、そのとき感じるストレスは、ずいぶん和らいできます。
「スキーマ」というのは、「自動思考」を生み出す元になっている考え方のクセです。「なんでも完璧にしなくてはならない」とか「誰からも嫌われないようにしないといけない」といった、一種の考え方の傾向、性格のようなものです。
ストレスに対して強い心を育てる為には「自動思考」だけでなく「スキーマ」に気付く練習をする必要があります。
Part1では、自分の「自動思考」に気付き、それに大きく影響を与えている「スキーマ」に働きかける事を最終の目標としています。
Part2では、問題の解決に向けて実際の練習をしていきます。
解りやすくする為に、全体を6つの領域に分けて、それらを単独でも利用できるという意味を込めて「モジュール」と呼んでいます。
「モジュール1」で、自分のストレスに気付く練習をします。
「モジュール2」で、問題をきちんと整理していきます。
「モジュール3」で、つらい気持ちになった時に浮かんでくるイメージ「自動思考」に注目しながら、バランスの良い考え方を身につける方法を練習します。
「モジュール4・5」で、問題を解決する方法や、行動の幅を広げる方法を練習します。
「モジュール6」で、心のクセとも言えるスキーマを理解し、柔軟な生き方をする為のヒントについて説明しています。
ただ、ここであげた順番は、あくまでも認知療法を行う時の目安ですので、必要に応じて先に進んだり、元に戻ったりして考えていきます。
人によって問題は様々ですし、取り組み方も違います。自分にあった方法や進め方を自分なりに(認知行動療法のカウンセリングの先生と一緒でも良い)工夫して利用してください。
最後に著者の大野裕さんから「本書を使って認知療法のコツを身につけ、あなたがあなたらしく生きていく心の力を育てていって下さる事を願っています。」と結ばれています。
「こころが晴れるノート」- 目次
はじめに‥
Part1:認知療法を理解しよう
気持ちは考え方に影響される
否定的な認知の3つの特徴
認知と気分とのかかわり
つらくなったときに頭に浮かんだ考えやイメージに注目する
「確かに役に立ちそうだ。でも‥」
あなたが悪い訳ではない
そんなに簡単に考え方が変わるわけではない
考えを変えても気持ちは変わらない?
Part2:あなたの問題に取り組んでみよう
モジュール1、ストレスに気付こう
たまったストレスに注意しよう
ストレスがたまった時に起こる特徴的な変化
モジュール2、問題をはっきりさせよう
ステップ1:問題リストを作成する
ステップ2:解決目標を設定する
ステップ3:目標が適切かどうか確認する
モジュール3:バランスの良い考え方をしよう
ステップ1:3つのコラムを使って自動思考に気付く
ステップ2:自動思考をチェックする
ステップ3:5つのコラムを使って自動思考に挑戦する
ステップ4:7つのコラムを使ってバランスの良い考え方をする
モジュール4:問題を解決しよう
ステップ1:問題解決能力を育てる
ステップ2:アクションプランを立てて行動する
ステップ3:生活リズムを回復する
モジュール5:人間関係を改善しよう
ステップ1:人間関係をチェックする
ステップ2:自分の気持ちを相手に伝える
モジュール6:スキーマに挑戦しよう
ステップ1:スキーマに気付く
ステップ2:行動を通してスキーマを修正する
おわりに‥
付録1:薬の服用について
付録2:うつや不安になっている人にどう接するか
付録3:いろいろなストレス関連症状
付録4:「5つのコラム法」
付録5:「7つのコラム法」